その121
北の原野と旭岳
昨年は雨降りばかりで撮り損ねた旭岳のギンザンマシコに再度のアタックをしてきた報告である。また、折角の北海道なのでサロベツ原野・オムサロ原野にも立ち寄ってきた。ついでに道東まで足を伸ばしてエトピリカにも逢ってきた。
ギンザンマシコ♂
今回は天気に恵まれギンザンマシコの出も良く、撮りたいだけ撮ることができた。がしかし、天気が良すぎると雪の残る大地が急激に暖められ陽炎が立ち、折角のギンザンマシコがすっきりと撮れない。難しいものだ。これら4枚は午後になって雲が出てからのカットである。
ギンザンマシコ
ハエマツから出てくると♀も♂もハエマツの新芽を食べる。軟らかい新芽だけを選んで食べるので、枝先に出たばかりの新芽を一口食べては次々と跳ねてうつっていた。
ギンザンマシコ
ハエマツの新芽はどんな味がするかと食べてみると、渋くて酸っぱくて松脂の匂いがした。♀は食べ疲れたのか、クチバシに付いた食べかすをぬぐって一休み。
ギンザンマシコ
♂は食べかすをクチバシにつけたままで一休み。
キマユツメナガセキレイ
サロベツ原野の南端にコバイケイソウの群落があり、満開の花房に止まって見張りをしていた。下に巣があるらしく時々草むらにおりていた。
キマユツメナガセキレイ
近くの別の個体がやはりコバイケイソウの花房に止まっていた。黄色い花はエゾカンゾウ。
アカエリカイツブリ
昨年2羽見られた長沼の中州で今年は抱卵していた。昨年は気がつかなかった小さな中州は遊歩道から30mほどしか離れていない。アカエリカイツブリもカルガモのように人を警戒するより他の外敵に対して人を利用する術を覚えたのかもしれない。
アカエリカイツブリ
♂と♀で鳴き交わしの儀式がすむと抱卵の交代。
アカエリカイツブリ
巣を補修し卵をクチバシで念入りに動かして・・・
アカエリカイツブリ
やっと抱き始めたが、首を上げたまま警戒態勢を緩めない。川向こうにチュウヒが旋回しているのだ。これで遊歩道近くに営巣したわけが少し納得できた。
ヒバリ
サロベツ原野では昨年シマアオジがしっかり観察できたので、今年も楽しみに行ってみたのだが、小雨の中を半日探しても見つけ出せなかった。出るのはヒバリとノビタキだった。
マキノセンニュウ
シマアオジをさがして歩いていると遊歩道に出てきたが一瞬で草の中へ飛び込んでしまった。
チュウヒ
エゾカンゾウの上をチュウヒが飛ぶ。観光のおばさんたちが次々に来て満開のエゾカンゾウに満足してそそくさと立ち去っていく。当たり前だが飛ぶチュウヒに気づくのは我々ばかりだった。
ノビタキ
オムサロ原野でシマアオジを見た人がいると聞き、期待して歩いてみたが出会えなかった。代わりにノビタキが満開のエゾシシウドで歓待してくれた。
エゾスカシユリ
オホーツク海に面した砂丘の南斜面に咲いていた。紫色はノハナショウブに見えるが、付け焼刃で定かでない。
ベニマシコ
警戒心が強く一声囀って飛び去ってしまった。このソングポストは昨年のエゾシシウド。
オオジュリン
満開のエゾシシウドの下をソングポストにしているのはオオジュリン。昨年もこの近くで囀っていた記憶がある。
ノゴマ
エゾシシウドは小鳥たちが渡ってきて巣作りする頃に、花柱が出て花が咲き虫も付くので、ここで子育てをする小鳥たちには有りがたい存在だろう。ノゴマもここで囀ったり虫捕りをしていた。
*旭岳のギンザンマシコは北海道の平地で冬を越し、ハエマツのある高い山で子育てをしている。繁殖は知床峠や他でも確認されていて、数は多くは無いが減っている話は聞かない。一方、シマアオジは年々見られ場所が減り、今では見られる場所はほとんど無いといっていいほどだ。繁殖に適した原生花園と言われるところは最近特に手厚く保護されているのに、絶滅寸前の有様である。どうしたことか。渡り鳥の彼らのどこかの地に生きていけない環境の改変があるのだろう。越冬地か渡り途中の地か・・・。もっと大きな変化の前触れなのだろうか。