その122
道東
旭岳・サロベツ原野・オムサロ原野の鳥たちについては前回のべたが、今回はついでに足を伸ばして出会えた道東の鳥たちの話である。納沙布岬、野付半島、落石港、根室車石などをまわった。
チシマウガラス
納沙布岬の海に突き出た崖地で抱卵中のチシマウガラスがみられた。枯れ草を積み重ねた巣に抱卵中だった。現在ではモユルリ島でわずかに繁殖していると聞いていたのに、ここでは観光客が列をなす売店脇の崖地で営巣していた。
チシマウガラス
赤い顔と2ヶ所にでた冠羽が特徴で、赤い顔は繁殖期だけにみられると、図鑑にある。
チシマウガラス
抱卵を交代した一羽が直ぐ下の海で行水羽繕いを丹念にして飛び去っていった。魚捕りに行ったのだろう。
オジロワシ
野付半島の南側岸に一羽だけでいた。しばらくしてトドワラ方向へ飛び去っていった。
タンチョウ
オジロワシのいた近くにタンチョウが2羽みられた。上げ潮に浮かされた藻を渡り歩いて虫を捕っている。まだ若鳥らしい。
オオジシギ
高空から急降下しながら出す大きな羽音は何度聞いてもすさまじい。廃船の上でもひとしきり鳴いて近くの草へ降りた。そこに巣があるのだろうか、しばらく見ていたが出てこなかった。
シマセンニュウ
今回は鳴きながら飛ぶ彼ら独特のディスプレイが見られなかった。もう、その時期が過ぎてしまったのだろう。
オオジュリン♀
子育て真最中らしく、ハマナスの上を虫捕りに飛び回っていた。♀はどことなく優しい感じがする。
アカアシシギ
野付半島は国内では数少ない繁殖地といわれている。朽ちかけた牧柵で数羽が鳴き交わしていた。
カッコウ
高い止まり木の無い草地では牧柵はカッコウのソングポストでもある。
ウトウ
今回、道東に足を伸ばした主な目的は落石港から出ている落石ネイチャークルーズに乗船し、エトピリカを間近で観察し撮影することであった。午後のクルーズだったが、快晴で風がなく、途中ウトウやケイマフリが出たりしてエトピリカの出るという海域に1時間ほどで着いた。ここはユルリ島の南東の海域で午前中に乗った人たちは12羽のエトピリカを見ていったという。
ウトウ
しかし、30分待っても出るのはウトウばかりだった。スタッフ(船長とガイドと補助員)3人に客9人が無言で海面を見つめ続けて、時間ばかりが過ぎていく。この船は航行ルート以外のコースは走れないと船長の言。予定のコースを微速前進しながら、ひたすらエトピリカの出を待った。予定海域に着いて50分経過、船はモユルリ島の東まで進んでしまっていた。
エトピリカ
そろそろ帰る時間になり、期待があきらめに変わろうとしていた時に、仲間が右舷遠方からエトピリカが飛んでくるとの一声で色めきたつ。皆々注目の中を船に向かって飛んできて、100mほどのところへ着水した。赤い嘴と黄色の飾り羽が確認できた。もう少し近くに来ないかと念じつつ撮影。5分ほどで潜ったきり出てこなかった。さっきまでの仏頂面は皆ニコニコ顔になり港に帰ってこられた。特にスタッフたちのほっとした様子が印象的だった。
アマツバメ
花咲港東の崖上で沢山のアマツバメが飛び交っていた。今度こそはしっかり撮ってみようと1時間ほど撮りまくった。アマツバメの飛翔速度はどのくらいあるのか、とにかく速い。速いからしっかり撮ってみたいとの思いがつのり、今まで何度も撮ってみたが満足なのは一枚も無かった。今回初めて腹部のウロコ模様が確認できるのを撮ることができた。
アマツバメ
足に羽毛のようなのをつかんで飛んでいるのがいた。たぶん巣材だろう。多くの小鳥は巣材を口で運ぶと思っていたのに、足で運ぶのは意外だった。
アマツバメ
一瞬足を出した。何かを捕まえようとしたらしい。小さな足指が5本見える。アマツバメは生活の大部分を空中で過ごし巣材も空中で集めるという。足をだして何かをつかまえようとしたのだろう。
アマツバメ
飛びながら大口を開けて昆虫類を捕食するというが、虫は小さくて映し出せていない。一説にはブヨほどの小さな虫を好んで食べるという。
アマツバメ
交尾も飛翔中に行うと図鑑にある。今まで半信半疑だったが、今回飛翔中の交尾ショットが撮れた。アマツバメはなんとも忙しい鳥なのだ。
*今回お世話になった落石ネイチャークルーズに興味のある方は下記を参照されたし。
http://www.ochiishi-cruising.com/