その77

戻る


コミミズクとチュウヒとチョウゲンボウ

コミミズクは毎年冬になると渡良瀬遊水地で観察していたが今年は低調だったようだ。代わりに利根川河川敷に数羽が出ていたのでじっくり観察することが出来た。コミミズクは草原のネズミやモグラを捕る名ハンターで、1時間に3匹も捕ったのを目撃したことがある。捕り過ぎたネズミは食べずに草の間に隠すことがあり、今回はこの隠したネズミをチュウヒが探し出して食べるのを観察出来た。またチョウゲンボウはコミミズクが捕ったところを待ちかまえて掠め捕っていく瞬間も観察できた。

1. 飛ぶ

コミミズクは草丈が30cm〜1mの草原で狩りをする。風が無く薄曇りの日は日中の早い時間から飛ぶ。草原に立っていて3羽同時に前後左右を飛ばれたことがあり、見ていて目が回るようだった。

2.狙う

コミミズクの視力は素晴らしくて地上2〜3mをビュンビュン(実際には羽音は全くさせない)飛んでいて草陰のネズミや地中のモグラを見つけてしまう。獲物を見つけると急に向きを変え地面に激突するかと思えるほどの速度で急降下する。

3.捕る、4.隠す、5.威嚇する

着地寸前に足を伸ばしてネズミやモグラを爪にかける。しかし、カメラ(を使っている私の運動能力)はコミミズクの俊敏な動作について行けず、今回はネズミを爪にかける瞬間は撮れなかった。捕ってからの行動は様々で口にくわえたり、身を低くして羽根で隠したり、近くに来た仲間やチョウゲンボウを威嚇したりと忙しい。

7.食べる

近くに他のコミミズクやチョウゲンボウがいないと捕ったネズミをその場で小さくちぎってゆっくり食べるか、捕ったその場で草の中へ隠して飛び去る。しかし横取りされそうな時は丸飲みしてしまう。大きなネズミを頭から飲み込んで飲み終わるまでに5秒ほどの早業だ。

8.運ぶ

捕った獲物を他の場所へ持ち去ることがあるがこの時に他のコミミズクを始めチョウゲンボウやチュウヒの標的にされることが多い。折角捕った獲物を横取りされ見ていて可愛そうになってしまう。

9.一休み

一度飛び出すと獲物が捕れなくても15分ほど飛んで適当な止まり木や地面に降りて一休みする。またすぐ飛び出すこともあるが2時間も動かないこともある。

チュウヒ

渡良瀬や利根川で活躍しているI先輩がチュウヒの面白い行動を見せてくれた。チュウヒはコミミズクが捕って隠しておいたネズミを見つけてさらってゆくという。まず、コミミズクが隠したネズミを失敬してきて我々が見やすい草原に置きなおし、100mほど離れてチュウヒが来るのをひたすら待つ。とぼとぼと薄暗くなりかけた頃にチュウヒが川下から草原上を旋回しながら飛んで来た。ネズミを見つけると急降下し一瞬にさらって行ってしまった。あまりの早業に目視は出来ても撮影は出来なかった。チュウヒもコミミズクもそれぞれにすごい視力を持っているものだ。

戻る

inserted by FC2 system